ヒップでアヴァンギャルドな新たなメインストリーム・ジャズ。
New mainstream jazz, hip and avant-garde.
Harish Raghavan / Calls for Action / 2019
Bass – Harish Raghavan
Alto Saxophone – Immanuel Wilkins
Drums – Kweku Sumbry
Piano – Micah Thomas
Vibraphone – Joel Ross
Producer – Walter Smith III
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JazzDog’s Rating ☆☆☆☆☆
Degree of
Contemporary / コンテンポラリー度 ☆☆☆
Thrilling Sounds / スリリング度 ☆☆☆
Advance / アドバンス度 ☆☆☆
Abstract / アブストラクト度 ☆☆☆
Romantic / ロマンティック度 ☆☆
Ambient / アンビエント度 ☆☆
Individual Style / 個性的なスタイル ☆☆☆
Groove / グルーヴ度 ☆☆☆
Stylish cover arts / ジャケ買い度 ☆☆☆
さて、きのうのイマニュエル・ウィルキンス “ ザ・セブンス・ハンド ” の紹介で、
「イマニュエル・ウィルキンス参加アルバムは、要チェック」
と書いたからには、ウィルキンス繋がりでいきますよ。
このアルバムは、イリノイ州出身の南インドにルーツを持つベーシスト、
ハリシュ・ラガヴァンの2019年の、リーダー・デビュー作品。
ほかのメンバーは、ピアノのミカ・トーマス、アルトサックスのイマニュエル・ウィルキンス、ドラムスのクウェク・サンブリー。
それにヴィブラフォンのジョエル・ロスというクインテット。
つまり、ヴィブラフォンのジョエル・ロス以外のカルテットは、昨日紹介のイマニュエル・ウィルキンスのカルテットのベースが交代しただけという内容。
ジョエル・ロスは、よくウィルキンスと共演してるし、ハリシュ・ラガヴァン自身もロスとは共演してる。音楽的に1つのグループと呼べる関係。
何だろうな、いま最も注目を集める若手ジャズメン達の創りだす音。
じつにアヴァンギャルドでありながら、激しくも美しい。
新たなるジャズのメインストリームとでも呼べばいいのだろうか。
一聴して、彼らなりの共通の言語というか、文法というか、
方法論がすでに存在していて、
彼らは、それを使って自由に会話している。
他のジャズ・ミュージシャンとは異質のおもしろさを持っている。
メンバー間の激しいインタープレイ。
各々のリズムやハーモニーは、もはやこれ以上分解できないと言うくらいにバラバラにされ、そして同時に緻密に組み上げられる。
複雑でありながら、えも言われぬ美しさを纏っている。
全員が思い思いに動いているようでいながら、
魚の群れのように、一瞬に動きを変えて変化する。
その瞬間、瞬間の美しき きらめき。
新たな企み、挑戦、閃きと調和。
トップ・アスリートがしめすような美しき残像。
あまりの情報量の多さに翻弄されながらも、
ついつい聴き入ってしまう。
いや、耳が離せないと言ったほうがいいかも。
聴く側にも体力を要求する音楽かもしれないけど、
(スピーカーorヘッドフォンの質も問われるかも)
刺激に満ちた新たな体験をもたらす若者達、頼もしい。