オリジナルだけで挑んだ、天才少年からアーティストへの脱皮作!
This work is a departure from the boy genius to an artist, challenged only by the original.
Joey Alexander / Origin / 2022
Piano – Joey Alexander
Bass – Larry Grenadier
Drums – Kendrick Scott
Guitar – Gilad Hekselman (Tracks: 4, 6, 9)
Tenor Saxophone, Soprano Saxophone – Chris Potter (Tracks: 2, 6, 9)
++++++++++++++++++++++++++++++++++
JazzDog’s Rating ☆☆☆☆
Degree of
Contemporary / コンテンポラリー度 ☆☆☆
Elegance / エレガント度 ☆☆☆
Ensemble / アンサンブル度 ☆☆☆
Feel good / ご機嫌度 ☆☆☆
Lyrical / リリカル度 ☆☆
Sentimental / センチメンタル度 ☆☆
Wistful / 哀愁度 ☆☆
さて≪ひさびさ本流≫ 2発目は、
インドネシア・バリ出身の天才少年ピアニスト、ジョーイ・アレキサンダーの第6作目。
19歳にしてリーダー作品6作とは、素晴らしい。
そして、MacAvenue レーベル移籍第1弾の本作は、全ての楽曲がオリジナル作品という力作。
メンバーも、ベースがラリー・グラナディアに、
ドラムが、ケンドリック・スコット。
このトリオ構成で6曲やっている。
加えてサックスにクリス・ポッター、
ギターにギラッド・ヘクセルマンと入って4曲(2人ともにが2曲に、それぞれ1曲)と、完璧といっていい布陣だ。
正直これまでの作品は「まだ若いのにこんなに弾けるんですよ」が、
コンセプトから離れなかったかもしれない。
しかし、本作は天才少年からアーティストへの脱皮作と呼んでもいい堂々たる作品だ。
楽曲タイトルからして、自然や四季の移ろいをテーマにした作品で、
全編を通してコンセプトに貫かれたアルバム。
ミドルテンポから、バラードに近い曲が多く、
美しいながらも甘すぎない旋律と歌心に貫かれた抒情的な大作。
ヨーロピアンなピアノ・トリオに近い空気も感じられるけど、
NYでもヨーロッパでもない、独自の世界がひろがる。
また、アルバム・コンセプトに沿って
最高のメンバーが、申し分ない仕事をしているし、
全編にわたって静かに繰り広げられるインタープレイが素晴らしい。
またジョーイは、
ヘクセルマンが参加しているギター曲2曲では、
エレキ・ピアノも弾いているけど、そのタッチもなかなかいい。
瑞々しくきらめく楽曲だ。
静かな時間を過ごしたい時に
じっくりと部屋で楽しみたい1枚、おすすめします。
しかし、これだけの老成ともいえる作品を作っていまだ19歳。
これからの動向が、ますます気になるピアニスト、ジョーイ・アレキサンダー。