ジャリアン・ラージが、ビル・フリーゼルをゲストに迎え創りだした現代ジャズギターの最高峰、文句なしの名盤。
Julian Lage’s masterpiece of contemporary jazz guitar, with Bill Frisell as a guest.
Julian Lage / View with a Room / 2022
Guitar – Julian Lage, Bill Frisell(Tracks:1, 3, 5, 6, 9, 10)
Bass – Jorge Roeder
Drums – David King
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JazzDog’s Rating ☆☆☆☆☆
Degree of
Contemporary / コンテンポラリー度 ☆☆☆
Elegance / エレガント度 ☆☆☆
Feel good / ご機嫌度 ☆☆☆
Nostalgic / ノスタルジック度 ☆☆
Groove / グルーヴ度 ☆☆
Stylish cover arts / ジャケ買い度 ☆☆
さて、きょうは昨日とはうって変わった空気のものを。
いまやジャズ・ギタリストとして真っ先に名前のあがるジャリアン・ラージの新譜。
これがまた、いいアルバム。
なんと先輩格のビル・フリーゼルが10曲中6曲参加している。
じつは告白するとオイラは、ジャリアン・ラージはあまり得意ではない。
他のアーティストのアルバムに参加すれば、じつにいい仕事するけど、
自身のアルバムで見せる強いカントリー色というか、
ちょっと捉えどころの無いアメリカン・フォークな感じが好みでは無いのだ。
あ、それはビル・フリーゼルにも当てはまるか。
ところがこのアルバム、アメリカンな空気はそのままだけど、
何か聴いていて楽しい、ポップなのだ。
なによりビル・フリーゼルのサポートが見事だ。
サポートというか、バッキングでありインタープレイである絶妙さ。
ラージがアンサンブルの相方としてビルを選んだというところで、
すでにこのアルバムのコンセプトは成功したのかも。
ジャズアルバムでありながら、秀逸なギター・アルバム。
たとえばグランドキャニオン的なザ・アメリカンな風景ではないけど、
ちょっと郊外にクルマを走らせたら、
気持ちよくてついつい遠出しちゃうみたいな気持ちのよさ。
ドラムとベースの貢献度もまた大きい。
誰だろうと思ってクレジットを見て、またビックリ。
ドラムが、あの暴れん坊トリオ “The Bud Plus ” のデビッド・キング。
そして、ベースは、これまた正反対なスタイル “Shai Maestro Trio” のジョルジ・ローダーなのだ。(自分のサイトをググるとジョルジ・ローダーは、過去にもジャリアン・ラージ作品に参加してた)
こんな、メンバーの取り合わせの妙というか、おもしろさがジャズの楽しいところだ。
この二人の個性がアルバムの脇をしめ、そして随分楽しく聴きやすいものしてくれている。
ジャリアン・ラージのギターの繊細さ、ニュアンス、フレージングが素晴らしくて、
じっくり聴いていると涙が出そう。そして、それに反応する3人のプレイにため息。
現代ジャズギターの最高峰と言える出来栄え、文句なしの名盤。