きょうは、現代ジャズドラマー列伝、70年代生まれの新しい人、
ババ〜ン!アントニオ・サンチェス、登場!
Antonio Sánchez / アントニオ・サンチェス
– 1971年、メキシコ、メキシコシティ生まれ –
5歳でドラムを始め、10代初頭にはすでにプロとして演奏を始める。
1993年にメキシコ国立音楽院でクラシック・ピアノの学位を取得後、ボストンに移りバークリー音楽大学で学ぶ。さらにニューイングランド音楽院に進み卒業。1999年にニューヨークに進出、2001年よりパット・メセニ・グループの一員として8枚のアルバムに参加、うち3枚でグラミー賞を受賞。
そのほか、チック・コリア、クリス・ポッター、デビッド・サンチェス、ジョン・パティトゥッチ、ダニオ・ペレス、ケニー・ワーナー、アビシェイ・コーエンなどなど様々なアーティストと共演を果たし、自らのリーダー・アルバムでも高い評価をえる現代最高峰のドラマー。
新たな血を注入し、力強く生まれ変わった新生パット・メセニー・グループ!
The new Pat Metheny Group has been injected with new blood and reborn strong!
Pat Metheny Group / Speaking of Now / 2002
パット・メセニー・グループ / スピーキング・オブ・ナウ
Acoustic Guitar, Electric Guitar, Guitar Synthesizer – Pat Metheny
Bass Guitar, Double Bass – Steve Rodby
Drums – Antonio Sánchez
Piano, Keyboards, Guitar – Lyle Mays
Producer – Pat Metheny, Steve Rodby
Trumpet, Vocals, Percussion, Guitar – Cuong Vu
Vocals, Percussion, Guitar, Bass Guitar – Richard Bona
ドラマー、アントニオ・サンチェスのスタートと言えば、このアルバムしかないだろう。
2002年リリース、パット・メセニー・グループの “Speaking of Now” 。
なんせ世界に衝撃が走った。
ジャズ界において人気とセールス両面において圧倒的なトップに君臨するチーム、
パット・メセニー・グループの新たなドラマーが、ほぼ無名の新人だったからだ。
しかし、不安は杞憂に終わる。
メロディ重視の原点回帰的アルバムである本作は、
さらに緻密さとシンフォニックさが増しているけど、
その狙いにドンピシャでハマるドラミングは、恐れ入るばかり。
繊細ながらもシンが通ってクリアなライドは、どこまでも気持ちよく。
そのはざまに常に挟まれる信じがたい手数には、開いた口が塞がらない。
メロディ重視というだけあって、全編を通しリチャード・ボナの存在感は大きく、
またトランペッター、クオン・ヴーの起用にも驚かされた。
全9曲中6曲を提供するキーボードのライル・メイズは言わずもがな、
共同プロデューサーとして名を連ねるベースのスティーヴ・ロドビーとの信頼関係も堅固だ。
新たな血を注入し、力強くリスタートした新生パット・メセニー・グループのアルバムは、
第45回グラミー “Best Contemporary Jazz Album” 受賞作品。