Piano Trio

Jazz Drummers of Today
現代ジャズドラマー列伝

Magnus Öström / マグヌス・オストロム / No,001

現代ジャズドラマー列伝でUKのドラマー、リチャード・スペイヴンを紹介していたら、
不意にマグヌス・オストロムのことを思いだした。

ついついUSを中心に追っかけがちだけど、
そのテクニック、世界へあたえた影響から、このヒト忘れちゃダメでしょう。
ということで60年生まれにバック。

Magnus Öström / マグヌス・オストロム
– 1965年、スウェーデン、ヴェストマンランド州ヴェステロース生まれ –

マグヌス・オストロムは、芸術家を両親に持ち、ジミ・ヘンドリックス、ディープ・パープル、オールマン・ブラザーズ、レイナード・スキナードといった兄の音楽的指向に影響を受けて育った。8歳の時に初めてドラムセットを手にし、すぐに後にe.s.t.を組むこととなる友人でピアニストのエスビョルン・スヴェンソと音楽を演奏するようになる。1981年からヴェステロース市の音楽文法学校に通い、スヴェンソン・トリオで演奏する。ストックホルムの音楽アカデミーで学ぶとともに地元の様々なバンドで演奏し、1987年から1992年までは、歌手モニカ・ボルフォースのバンドのメンバーとして活躍した。1989年からはスヴェンソンと活動を共にし、彼の事故死までともにe.s.t.で活躍。

絵筆を振るうように自由に、しかもこの上なく美しい彩りで空間を埋めてゆくスティック捌き。打ち込みとも思えるような正確さで常に変化し続ける即興性、クールな疾走感が持ち味。スウェーデン・ジャズを世界に知らしめた立役者。

彼らが、“e.s.t” の名とスウェーデン・ジャズを世界に示した1枚!
This is the album in which they showed the name “e.s.t” and Swedish jazz to the world!

e.s.t. / Strange Place for Snow / 2002年
イー・エス・ティ / ストレンジ・プレイス・フォー・スノウ

Piano, Keyboards – Esbjörn Svensson
Bass – Dan Berglund
Drums, Percussion – Magnus Öström
Written-By, Performer, Producer – e.s.t.

“e.s.t”は、「 Esbjörn Svensson Trio 」(エスビョルン・スヴェンソ・トリオ)の略で、
北欧スウェーデンのバンド。

このアルバムは、彼らの通算7作目、2002年のリリース。
この前々作くらいから、オーソドックスなジャズ路線を離れ、独自路線へと大きく舵を切ってゆく。

そして本作で、
それまでのEsbjörn Svensson Trioというバンド名を、頭文字をとった e.s.t. に改名。
ジャズ・トリオ的な名前と決別した。

多少のジャズファンがはなれ、
ジャズに縁のなかった層を大きく獲得してゆく。

日本にも、フォロアー的なピアノトリオがいっぱい生まれた。
そりゃそうだ、北欧同様ジャズを輸入して育てたファンクネスに縁のない土地柄だもんね、日本と環境は近い。

とはいえ、現代のジャズに慣れた耳で聴くと、
さほど違和感はない。

しかし、当時はショッキングな存在だったのかな。
ロック的、扇情的なリズムを大胆に取り入れ、
同時に北欧的な透明感、叙情性、クラシカルな要素を併せ持つ。

エフェクターなども多用し、ピアノ音にも電気的処理が施される様に
世界が驚いた。

もちろん、ジャズ的要素が基礎にあり、
キースジャレットの影響は大きく感じられるし、
何より即興性を重視したプレイスタイル。

このアルバムで彼らは、世界に衝撃をあたえ、
ジャズという枠、枷から解き放たれた。

3人がそれぞれ新たな音楽を創ろうという気概に満ちたプレイをしてるけど、
なかでも、彼らを世界に押し上げたのは、オストロムのドラミングに負うところが大きい。

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