最高の音楽は、対位法的で、メロディがあり、空間を活かし、ダイナミクスがある。ドラムでも、これらのすべてを表現できるんだ(リズム&ドラム・マガジン2013年9月号)
マッチョにして繊細、世界最高峰ドラマー、アントニオ・サンチェス。
きょうは、アントニオ・サンチェス。大物にもかかわらず、これまでリーダー作品をあまり紹介していなかった。
アントニオ・サンチェスは、パット・メセニーとの共演でその名を世界に知らしめたドラマー。メセニーからの絶大な信頼は世界からの信頼へとなり、アカデミー賞の主要4部門を受賞した作品「Birdman」ではドラム1本でサウンドトラックを務めジャズファン以外の人々をも驚かせた 。
そんな彼が、ミシシッピー州のメリディアンから始まったメセニーとのツアー中にアイデアを書き留めまとめ上げたのが本作。マイグレーションは、彼のパーマネント・グループ。自身でもドラムのほかキーボード、ヴォーカルを務めている。スペシャル・ゲストにギターのアダム・ロジャース。
出だしのピアノのリフがカッコいい1曲目。サックス、ギター、コーラスが絡んでさらに緊張と美しさに拍車がかかり、圧巻のテナーソロ。拍子がどうなってるサッパリ分からなくなるけど、オープナーにふさわしい大曲。
つづく2曲目はタナ・アレクサをフューチャーした静かなボーカル曲だけど、これまた素晴らしい。美しいベース・ソロそして盛り上げてのリズム・チェンジ、見事。
3曲目は、エナジーほとばしる楽曲で、ドラム・ソロも堪能。
フリージャズっぽい4曲目を挟んでラスト5曲目は、21分の大作。
美しいサックスソロから始まり哀愁をおびたヴォーカル、ベースのそろからサックスのピアノと続き楽曲のコアが姿を現す。幽玄なパートを挟んで大団円。ラスト静かに流れる1曲目のピアノのリフ。
全編にわたってアダム・ロジャースのギターとタナ・アレクサのヴォイスが大きな役割を果たしていて、メセニー・サウンドの影響も大きく感じられる。
サンチェスは、ほんとにドラマーとしても完璧だし、そのサウンド構築力にも舌を巻く。う〜ん、見事!
Degree of
Contemporary / コンテンポラリー度 ☆☆☆
Thrilling Sounds / スリリング度 ☆☆
Dramatic / ドラマチック度 ☆☆☆
Ensemble / アンサンブル度 ☆☆☆
Wistful / 哀愁度 ☆☆
Ambient / アンビエント度 ☆☆☆
Stylish cover arts / ジャケ買い度 ☆
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Drums, Keyboards, Vocals, Composed By, Producer – Antonio Sanchez
Guitar – Adam Rogers
Bass, Electric Bass – Matt Brewer
Piano, Electric Piano – John Escreet
Tenor Saxophone, Electronic Wind Instrument – Seamus Blake
Vocals – Thana Alexa