「僕にとって竜巻は、破壊の象徴であると同時に、ある種の浄化の象徴でもある」列車と竜巻は、生まれ育ったミズーリの原風景(Mikikiインタビューより)
Pat Metheny / From This Place
Guitar, Keyboards – Pat Metheny
Bass, Voice – Linda May Han Oh
Composed By, Produced By – Pat Metheny
Drums – Antonio Sanchez
Piano – Gwilym Simcock
Harmonica – Gregoire Maret
Percussion – Luis Conte
Vocals – Meshell Ndegeocello
Orchestra – The Hollywood Studio Symphony
Orchestral Arrangement – Alan Broadbent, Gil Goldstein
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JazzDog’s Rating ☆☆☆☆
Degree of
Thrilling Sounds / スリリング度 ☆☆
Dramatic / ドラマチック度 ☆☆☆
Ensemble / アンサンブル度 ☆☆☆
Feel good / ご機嫌度 ☆☆☆☆
Lyrical / リリカル度 ☆☆☆
Sentimental / センチメンタル度 ☆☆☆
Aesthetic / 美しい〜度 ☆☆☆
Wistful / 哀愁度 ☆☆☆
大物過ぎるアルバムでいろんな方がブログで取り上げてるんで躊躇してたけど、なんとなく1年の総括的な時期に来てるんで取り上げないわけにもいくまい。
いや〜待ってました!なフォンも多かったろう。なんせスタジオ録音盤としては6年ぶり。参加アルバム含めて丸3年アルバム出てなかったんだから。
パット・メセニーが、現メンバーでのカルテットでツアーを始めたのが2016年。そして、レコーディング開始も同年12月。丸3年半、えらい時間かかってる。
メセニーは、レコーディング初日に「何か足りない」とオーケストラを加えることを思いついたということなんで、それからのアレンジメントの構想、依頼、その他諸々。そうとう煮詰めたし時間もかかったのかも。メンバーそしてゲストも超売れっ子だからスケジュール待ちもあるだろうし。
ということでの新作は、
ズバリ現代版 “ Stil Life(Talking) ” かな。
1曲目から列車の効果音入ってくるし!テンションは否応なくあがる。
原点というわけではないけど Pat Metheny Groupでの “ Stil Life(Talking) ” “ Lettet From Home ” “ Secret Story ” という89年から92年の黄金の3部作を彷彿とさせる作品だ。
このアルバムが、素晴らしいことは間違いない。
大好きなリンダ・オーの活躍もうれしいし、アントニオ・サンチェスのドラミングも、ゲストのグレゴア・マレもハーモニカも申し分ない。
でも「何かがたりない」と思うのはメセニー本人だけではないと思う。
アラン・ブロードベントとギル・ゴールドスタインのアレンジメントの力を借りて導入したオーケストレーション。
これって、もしかしてライル・メイズがいたら必要なかったのでは ?!
と、考えてしまう。
そして、
ミシェル・ンデゲオチェロの歌う堪らなく美しいタイトル・ナンバーが、どうしてもライル・メイズへの追悼曲に聴こえてしまう。
(実際は、2016年のアメリカの大統領選挙の結果が出た時の残念な気持ちを表した曲とメセニーは語っているけどね)
ライル・メイズなき今、この映画のような大叙事詩を発表したメセニー、
“ From This Place ” からどこへ向かうんだろう。