いまや現代ジャズを背負って立つメンバーの日常会話。穏やかななかにも見え隠れする様々な感情。
The daily conversations of the members who now stand at the forefront of contemporary jazz. Various emotions are hidden in the calmness of it.
In Common: Walter Smith III, Matthew Stevens, Joel Ross, Harish Raghavan & Marcus Gilmore / 2018年
イン・コモン:ウォルター・スミス3世, マシュー・スティーヴンス, ジョエル・ロス, ハリシュ・ラガヴァン, マーカス・ギルモア
Tenor saxophone – Walter Smith III
Guitar – Matthew Stevens
Bass – Harish Raghavan
Drums – Marcus Gilmore
Vibraphone – Joel Ross
現代ジャズドラマー列伝 ≪ マーカス・ギルモアの巻 ≫ は、
まだまだ続いて第8弾!
けっこうオイラ愛聴のシリーズ “ イン・コモン ” の1枚目を紹介。
このアルバム、2018年にリリースされた時、
最初の3曲くらい聴いて挫折した。
とらえどころのなさ。
グルーヴとはかけ離れたギター・ソロ。
耳馴染みのないハーモニー。
でも4曲目辺りからは、かなりオーガニックな雰囲気も加わってくる。
比較的穏やかな曲調、日常会話のようなシーン。
やや攻めな姿勢も交えつつ、あくまでもリラックスした空気感。
プライベートなスタジオに集まったメンバーのとりとめのない会話のような。
軽く合わせるつもりが、ついつい本気モード入っちゃった、みたいな。
熱くなりすぎず、かといって冷めているわけでもない。
絶妙のハーモニーと阿吽の呼吸の中に、
歓びやおそれ、不安や慈しみ、とまどいや本音や冗談が織り込まれてゆく。
談笑の中にも誠実さが見え隠れするような音楽。
メンバーは、サックスのウォルター・スミス3世に
ギターで、マシュー・スティーヴンス。
ヴィブラフォンのジョエル・ロスに、
ベースが、ハリッシュ・ラグハヴァンで、
ドラムは、マーカス・ギルモア。
最初、とっつきにくかったこの音楽は、オイラにとっていまや極上のサウンド。
“In Common” というのは「共通の」とか「一般的な」という意味だと思うけど、
「メンバーが共有する感性」のことを指しているのかな。
いまや現代ジャズを背負って立つメンバーが作り出すサウンドは、
妙な力みもなく、しかし説得力に満ちている。