あふれる躍動感、華やかなアンサンブルとスリリングなソロ展開、王道中の王道 3管セクステットの極み!
The overflowing vibrancy, the gorgeous ensemble, and the thrilling solos are the best of the best of The ultimate in 3-tube sextets!
Alex Sipiagin / Destinations Unknown / 2011年
アレックス・シピアギン / ディスティネーション・アンノウン
Trumpet, Flugelhorn – Alex Sipiagin
Alto Saxophone – David Binney
Tenor Saxophone – Chris Potter
Piano, Keyboards – Craig Taborn
Bass – Boris Kozlov
Drums – Eric Harland
Composed By – Alex Sipiagin (tracks: 1 to 6), Toninho Horta (tracks: 7)
今日は、現代ジャズドラマー列伝 ≪ エリック・ハーランドの巻 ≫ 第7弾!
ロシア出身のトランペッター、アレックス・シピアギンの2011年のアルバム。
けっこうベテランだけど日本ではあまり知名度がないシピアギンは、こんなヒト↓。
むしろ、Monday満ちる の亭主と言ったら「おおっ!」となる。
彼に人生に転機が訪れたのは1989年のこと。第一回ロシア・ジャズ・コンテストで優勝したことがきっかけで、テキサスで開かれたジャズフェス(Corpus Christi Jazz Festival)に学生バンドと一緒に参加するチャンスを得たのだった。そして、テキサス滞在中にセロニアスモンク・コンペティショントのパンフレットを偶然目にし、それにデモテープを送ったところ見事テープ審査をパス。しかも当時としては異例の速さでビザも取得でき、ついにワシントンの地を踏むことができたのである。当時アレックスは英語など全く話せず、ワシントンに着いた時には一銭も持っていなかったというが、それでも幸運は重なるもので、本選では堂々の4位入賞を果たした。ちなみに同コンペ参加者のなかにはライアン・カイザー、スコット・ウェンドホルト、ニコラス・ペイトンらがいた。
(Alex Sipiagin / Destinations Unknown 【 雨の日にはジャズを聴きながら 】より抜粋)
ガッツあるオトコ、アレックス・シピアギン。
そんな裸一貫(?)ロシアから出てきた叩き上げアレックスの意気込みがひしひしと伝わってくるような快作。すこぶるクールでカッコいい楽曲ばかり。
ある意味ジャズ編成で最高の3管セクステットを、しかもこんな凄いメンバーで演れることのよろこびに跳ねるようなアレックスの活き活きしたプレイ。
もちろん、アルトのデヴィッド・ビニー、そしてテナーのクリス・ポッターも元気いっぱい。ピアノのタボーンもキラリと光る。
各自のソロもアンサンブルも聴きどころ満載。
もちろん、エリック・ハーランドのドラミングは冴えわたる。
あふれる疾走感と躍動感、
華やかなアレンジに各自のスリリングなソロ。
王道中の王道 3管セクステットの極み。
こりゃ、敏子ママにも鼻が高い。
Eric Harland / エリック・ハーランド
– 1976年、テキサス州ヒューストン生まれ –
地元ヒューストンの有名なHigh School for the Performing and Visual Artを卒業。17歳の時にはプロとして演奏を始め、ワークショップでウィントン・マルサリスにNYで学ぶことを奨められマンハッタン音楽学校に入学、卒業後は、ヒューストン・バプティスト大学(聖書研究学部)で神学を学び、その後、牧師として叙階される。
ベティ・カーター、ジョー・ヘンダーソン、マイコイ・タイナー、マイケル・ブレッカー、テレンス・ブランチャード、ブランフォード&ウィントン・マルサリス、ウェイン・ショータなどと共演。2014-2016年シーズン、SFJAZZセンターのレジデント・アーティスティック・ディレクターを務め、現代のトッププレーヤーとしてジョシュア・レッドマン、デイヴ・ホランド、チャールズ・ロイド、ジェイソンモラン、クリスポッターらとの共演、あるいは自身のグループ「VOYAGER」での積極的な活動も評価が高い。
ハイピッチなチューニングが特長で、高速シングル・ストロークの流麗さやダイナミクスの幅広さに定評がある。彼の豊かな音楽性はソロプレイヤーやバンドの状況に素早く反応し、ピアニシモのコントロールやフレージングの速さも素晴らしい。また、彼の始めたタムの上にシンバルを乗せてたり、ハイハットにタンバリンを乗せてリズムを刻んだりする様々な試みは、いまやドラマーのトレンドとも言える。ジャズ・ドラマーとして最も多忙な1人。