アレックス・シピアギン vs クリス・ポッター、コンテンポラリー巌流島!
美しくもストイックな2人のサムライによる一騎打ち!
Alex Sipiagin / Overlooking Moments / 2013年
Trumpet, Flugelhorn – Alex Sipiagin
Bass – Scott Colley
Drums – Eric Harland
Tenor Saxophone, Soprano Saxophone – Chris Potter
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JazzDog’s Rating ☆☆☆☆
Degree of
Contemporary / コンテンポラリー度 ☆☆☆
Thrilling Sounds / スリリング度 ☆☆☆
Elegance / エレガント度 ☆☆☆
Ensemble / アンサンブル度 ☆☆☆
Stylish / スタイリッシュ度 ☆☆☆
Lyrical / リリカル度 ☆☆
Aesthetic / 美しい〜度 ☆☆☆
Wistful / 哀愁度 ☆☆
Stylish cover arts / ジャケ買い度 ☆☆
きのうクリス・ポッターの新譜を紹介したので、ちょっとクリス・ポッター関連をいってみよう。
これはトランペッター、アレックス・シピアギンの2013年の意欲作。
以前、2011年のアルバムを紹介したことがあった。
このアルバムでも、クリス・ポッターそれからドラムのエリック・ハートランドと共演してるし、これ以降も何作か演っている。
相性がいいというか、気が合うというか、音楽的に惹き合うものがあるんだね。
このアルバムも、息ピッタリというか、相方がクリス・ポッターであることを前提に作られているのだと思う。
前出の作品では3管編成だったけど、今度はクリポタと2管。
しかもピアノもギターもいないコード楽器なしでの贅肉をそぎ落としたスタイルでの勝負となっている。
いさぎよし、よっ!サムライ・シピアギン。義母の秋吉敏子も拍手してる(たぶん)。
サウンドの方は、超クール。
もちろん2管でのテーマから2人のソロが続く展開、あるいは2人が絡むという展開になるワケだけど、
ドライというのではなく、あえて爆発を抑えてギリギリのラインで綱渡りするような緊張感が終始持続する。
2人のソロまたはプレイは、それぞれ聴き応えがあり、
2人の創造性、交差するラインが独自の音楽を創りだす。
一触即発のモト・ライダー、2マシンによるトップ争いのような、
極めて洗練されたボクシング・タイトル・マッチのような、
そんな美しいダンスのようなバトルが、ここにある。
アレックス・シピアギン4曲にスコット・コリー2曲、クリス・ポッター1曲にマンディ満ちる1曲という構成。
1曲終わるごとに、いつのまにか止めていた息を大きく吐いてこちらも弛緩する。
もちろんドラムのハーランドとベースのスコット・コリーにもしっかり見せ場は用意されていて納得。
通好みな、噛めば噛むほど味の出るスルメ盤、アレックス・シピアギンいい漢。