シピアギン×サンチェスの意外な組み合わせ。乾いたドライブ感が、クール!
Unexpected combination of Sipiagin & Sánchez. The dry textured groove, cool!
Alex Sipiagin / Returning / 2005
アレックス・シピアギン/ リターニング
Trumpet, Flugelhorn – Alex Sipiagin
Bass – Scott Colley
Drums – Antonio Sánchez
Guitar – Adam Rogers
Tenor Saxophone – Seamus Blake
Antonio Sánchez / アントニオ・サンチェス
– 1971年、メキシコ、メキシコシティ生まれ –
5歳でドラムを始め、10代初頭にはすでにプロとして演奏を始める。
1993年にメキシコ国立音楽院でクラシック・ピアノの学位を取得後、ボストンに移りバークリー音楽大学で学ぶ。さらにニューイングランド音楽院に進み卒業。1999年にニューヨークに進出、2001年よりパット・メセニ・グループの一員として8枚のアルバムに参加、うち3枚でグラミー賞を受賞。
そのほか、チック・コリア、クリス・ポッター、デビッド・サンチェス、ジョン・パティトゥッチ、ダニオ・ペレス、ケニー・ワーナー、アビシェイ・コーエンなどなど様々なアーティストと共演を果たし、自らのリーダー・アルバムでも高い評価をえる現代最高峰のドラマー。
現代ジャズドラマー列伝 ≪ アントニオ・サンチェスの巻 ≫ 第2弾は、これ。
ロシア出身のトランペッター、アレックス・シピアギンの2005年のアルバム。
クールな雰囲気のシピアギンと熱いオトコなイメージのサンチェスの意外な組みあわせ。
ほかのメンバーは、
ベースがスコット・コリーで、
サックスに、シェイマス・ブレイク、
ギターにアダム・ロジャースというメンバー。
1曲目から格好いい。
全体通して4ビートの曲はないけど、
ゴリゴリのコンテンポラリー(なんだそれ、小難しくないの意味)でもなく、
2管&ギターのつくり出す軽快で都会的な空気、
乾いたドライブ感が気持ちいい。
7曲中3曲がシピアギンで、1曲がロジャース。
2曲がパット・メセニー作で、1曲が、ビル・エヴァンスだ。
以前は、メセニーの曲だなんて思わずに聴いてたので、
あらためてどのアルバムに入っていたっけ?と調べると、
なんと2曲とも2008年リリースの “Day Trip” 収録曲 ?
なんで本家よりカヴァーが早いの?
レーベル “Criss Cross” を見ると、
メセニーが、彼らのレコーディングに際し新たに書き下ろしたらしい。
メセニー、優しい!
サンチェスのドラミングに関して言えば、
もちょっと弾けたところも聴きたかったけど、
相変わらずライドシンバルがクリアで美しく、じつに心地よい。
どんなスタイルにも、過不足無くいい仕事。
シピアギンのアルバムに何枚か参加しているサンチェス。
意外なその相性の良さに、彼の幅広い音楽性を感じる。