インプロビゼイションの新しい教科書なのか!メルドーらしさの真骨頂、荘厳でダーク、そして優雅な平均律 / 月曜日のブラッド・メルドー(2019年5月31日分に加筆再掲載)
ブラッド・メルドー異色作の決定版 “ After Bach ” 。
タイトル通り、バッハを再解釈して見せてくれるメルドー世界。
もともと、ジャズらしからぬ指の動きがメルドーの持ち味、なのだけれど、クラシックを通過(でもほとんどのピアニストはそうだよね)したメルドーの原点的作品なのかな。
あるいは、
バッハの「平均律クラヴィーア曲集」をモチーフに、「僕の作曲法」的に、こうやって展開してゆくんですよ、という一冊のテキストのような作品とも感じられる。
これまで、ルネ・フレミングそしてアンネ・ゾフィー・フォン・オッターとクラシック界のアーティストと共演をはたしてきたメルドーだけど、ついにそれだけではガマンできなくなったというかバッハと共演(脳内共演)してみせたのが本作。
まあ、ともあれメルドーの非凡さがまたひとつ開花した、結晶のような作品だ。
多作であることこそ天才の証明のようなのものだけど、次から次へと発想を恐ろしいレベルでカタチにしてゆくメルドー、目が離せないというのは、この人。
ラストの曲のみタイトルにバッハが付かない “ Prayer for Healing ” 、
安らぎと静寂に包まれる。