ポッターとティボーンのジャズが、アイヒャーの理想と結実した名盤!
It is a masterpiece, the fruition of Potter and Thibone’s jazz and Eicher’s ideals!
Chris Potter / The Sirens / 2013年
クリス・ポッター / ザ・サイレンズ
Saxophone,Bass Clarinet – Chris Potter
Bass – Larry Grenadier
Drums – Eric Harland
Piano – Craig Taborn
Piano, Celesta,Harmonium – David Virelles
さて、きょうも現代ジャズドラマー列伝 ≪ エリック・ハーランドの巻 ≫ 第8弾。
サックス奏者クリス・ポッターが2013年にECMに残した傑作。
“ Sirens ” はサイレンでも試練でもなく海の精霊セイレーン。
このアルバムはホメロスの叙事詩「オデュッセイア」に
インスパイアされて作られたそう。
ECMというだけで、ポッターが ?!といぶかしく思うも、
聴いてみればECMだけにすばらしい音質、音像空間で別世界。
ハーランドのドラムを十二分に堪能できるだけでなく、
もうライブ会場にいるように(ライブではない)、
各人の音が浮かび上がっていつもと違う音場感に酔う。
ハーランドが素晴らしいのはもちろんだけど、
特にティボーンのピアノの冴えが素晴らしく、
ポッターの世界に一層の、いやさらにもう一層の深みをあたえている。
プロデューサーであるマンフレート・アイヒャーの影響もあるのだろうが、
ECMという場で、ポッターがティボーンとともに見せた異次元。
音響空間というだけではない、
ジャズという概念とアイヒャーの理想が結実した名盤。
Eric Harland / エリック・ハーランド
– 1976年、テキサス州ヒューストン生まれ –
地元ヒューストンの有名なHigh School for the Performing and Visual Artを卒業。17歳の時にはプロとして演奏を始め、ワークショップでウィントン・マルサリスにNYで学ぶことを奨められマンハッタン音楽学校に入学、卒業後は、ヒューストン・バプティスト大学(聖書研究学部)で神学を学び、その後、牧師として叙階される。
ベティ・カーター、ジョー・ヘンダーソン、マイコイ・タイナー、マイケル・ブレッカー、テレンス・ブランチャード、ブランフォード&ウィントン・マルサリス、ウェイン・ショータなどと共演。2014-2016年シーズン、SFJAZZセンターのレジデント・アーティスティック・ディレクターを務め、現代のトッププレーヤーとしてジョシュア・レッドマン、デイヴ・ホランド、チャールズ・ロイド、ジェイソンモラン、クリスポッターらとの共演、あるいは自身のグループ「VOYAGER」での積極的な活動も評価が高い。
ハイピッチなチューニングが特長で、高速シングル・ストロークの流麗さやダイナミクスの幅広さに定評がある。彼の豊かな音楽性はソロプレイヤーやバンドの状況に素早く反応し、ピアニシモのコントロールやフレージングの速さも素晴らしい。また、彼の始めたタムの上にシンバルを乗せてたり、ハイハットにタンバリンを乗せてリズムを刻んだりする様々な試みは、いまやドラマーのトレンドとも言える。ジャズ・ドラマーとして最も多忙な1人。