クリスチャン・スコット・アトゥンデ・アジュアー、2017年3部作の締めくくりは、紛れもないジャズの進化形!
Christian Scott Atunde Ajuar, concluding his 2017 trilogy with an unmistakable jazz evolution!
Christian Scott aTunde Adjuah / The Emancipation Procrastination / 2017
Trumpet, Siren, Siren, Flugelhorn, MIDI Controller– Christian Scott aTunde Adjuah (Tracks: 1-4, 6-12)
Alto Saxophone – Braxton Cook (Tracks: 1, 3, 4, 7, 8, 11, 12)
Bass – Kris Funn (Tracks: 1, 3, 7, 8, 11, 12), Luques Curtis (Tracks: 4, 6, 10)
Djembe, Bata, Congas – Weedie Braimah (Tracks: 2, 5, 10)
Drums, MIDI Controller – Joe Dyson Jr. (Tracks: 1, 3, 4, 7, 10)
Drums, MIDI Controller – Corey Fonville (Tracks: 1, 3, 6-12), Marcus Gilmore (Tracks: 2)
Flute – Elena Pinderhughes (Tracks: 1, 3, 4, 7, 8, 12)
Guitar – Cliff Hines (Tracks: 3, 4, 9, 10), Dominic Minix (Tracks: 8), Matthew Stevens (Tracks: 1,12)
Piano, Electric Piano – Lawrence Fields (Tracks: 1, 3, 4, 6-12)
Tenor Saxophone – Stephen J. Gladney (Tracks: 11)
Written-By – Christian Scott (Tracks: 1-4, 6, 7, 9-12), Cliff Hynes (Tracks: 9), Colin Charles Greenwood (Tracks: 8), Edward John O’Brien (Tracks: 8), Jonathan Richard Guy Greenwood (Tracks: 8), Lawrence Fields (Tracks: 9, 11, 12), Philip James Selway(Tracks: 8), Thomas Edward Yorke(Tracks: 8), Weedie Braimah (Tracks: 5)
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JazzDog’s Rating ☆☆☆☆☆
Degree of
Contemporary / コンテンポラリー度 ☆☆☆
Thrilling Sounds / スリリング度 ☆☆☆
Elegance / エレガント度 ☆☆☆
Ensemble / アンサンブル度 ☆☆☆
Stylish / スタイリッシュ度 ☆☆☆
Advance / アドバンス度 ☆☆☆
Aesthetic / 美しい〜度 ☆☆☆
Wistful / 哀愁度 ☆☆
Ambient / アンビエント度 ☆☆☆
Spiritual / スピリチュアル度 ☆
Individual Style / 個性的なスタイル ☆☆☆
Groove / グルーヴ度 ☆☆☆
Affinity / ジャズ初級者度 ☆☆
Stylish cover arts / ジャケ買い度 ☆☆☆
さて、きょうもクリスチャン・スコット・アトゥンデ・アジュアー。
2017年にリリースされた3部作の3作目 “ ジ・エマンシペイション・プロクラスティネーション ” 。
直訳すると “ 開放の先延ばし ” 政治的な意味合いが大きいのだろう。
2017年はトランプ政権発足の年だから、政治的メッセージの込められたアルバムは、歌詞のないジャズにさえ多かった。このアルバムもそんな1つ。
さて、サウンドだけど前2作(3部作のね)とは1曲目から違いが伝わってくる。
ギターのコード・カッティング。ドラムのゆるい8ビート。
そしてベースのベースらしいラインの動き。そしてサックス。
しかし、クリスチャン・スコットのトランペットがいったん鳴り響くと紛れもない彼の創りだす世界。
曲によって様々だけど、この3作目が最も普通らしいと言うかジャズらしいかな。
まあ、普通といってもクリスチャン・スコット・サウンド=ストレッチ・ミュージックには間違いないが。
彼は、自らの音楽をストレッチ・ミュージックと呼んでいる。
言っていることは分かる。多くのミュージシャンが同じようなことを望んでいるとも思う。
しかし、結果クリスチャン・スコット・アトゥンデ・アジュアーは、他の誰でもない自分だけのサウンドを獲得したということは確かだ。
前2作では、自らのトランペット、それからエレーナ・ピンダーヒューズのフルート、そしてローレンス・フィールズのエレピ以外は、さほど目立たなかった。むしろリズムが主役。
しかし、このアルバムではサックスのステファン・J・グランドニー、それからローレンス・フィールズのエレピではなくピアノ、あるいはギターのマシュー・スティーブンス、それからドラマー3人コーリー・フォンヴィル、ジョー・ダイソンjr.、マーカス・ギルモアの存在感も際立っている。
まさに総合力というかジャズ的回帰をしめしたアルバム。
ジャズ100年を記念してリリースした3部作。
それらが、xxxxトリビュート的なものではなく、
一聴してジャズらしく聴こえないものを堂々と打ち出した、このオトコのふてぶてしさと勇気。
現代のジャズを前に押し進めているという揺るぎない自信。
第61回グラミー賞ベスト・コンテンポラリ−・インストゥルメンタル・アルバム・ノミネート作品はダテじゃない。
そうそう、
“ 最新鋭のビートミュージックとジャズ伝統を共存するもの ” として彼が本作を作った、そのリズム面での技術的側面を解説したものがあったので貼り付けとく、おもしろいよ。
YRZ Music 萬屋ドラム教室
https://www.yrzmusic.com/blog/cages1971237