優れた作編曲家として、さらに踏み込んだ世界をみせるダフニス・プリエトの新境地。
This is the second album by Dafnis Prieto in 2006, which shows his new world as an excellent composer and arranger.
Dafnis Prieto / Absolute Quintet / 2006
ダフニス・プリエト / アブソリュート・クインテット
Drums – Dafnis Prieto
Bells – Dafnis Prieto (Tracks: 5)
lto Saxophone – Yosvany Terry (Tracks: 1, 3, 8)
Soprano Saxophone – Yosvany Terry (Tracks: 2, 5, 6, 10)
Tenor Saxophone – Yosvany Terry (Tracks: 9)
Shekere – Yosvany Terry (Tracks: 5)
Alto Saxophone, Guest – Henry Threadgill (Tracks: 4)
Cello – Dana Leong
Organ, Keyboards – Jason Lindner
Violin – Christian Howes
Bass Violin – Christian Howes (Tracks: 5 to 7)
Vocals – Dafnis Prieto (Tracks: 1), Jason Lindner (Tracks: 1)
Written-By – Dafnis Prieto
Producer – Dafnis Prieto, Roberto Occhipinti
現代ジャズドラマー列伝、
気鋭のキューバ出身ドラマー ダフニス・プリエトをもう1枚。
こちらは、2006年のセカンド・アルバム。
アブソリュート・クインテットと呼ぶからには、5人編成だと思うけど、
ドラムの本人と、サックスのヨスバニー・テリー。
それにサックスのヘンリー・スレッドギルとピアノのジェイソン・リンドナー。
チェロのダナ・レオンに、バイオリンのクリスチャン・ハウズというメンバー。
ヘンリー・スレッドギルにはゲストと書いてあって+1の6人。
驚いたことに本人とヨスバニー・テリーだけが、前回と同じメンバーで、
しかも、ほか4人はラテン勢ではない。
スレッドギルといえばフリー系の御大だし、後の3人もかなり実験的というか、
ちょっと想像つかないメンバー。
出だしの曲は、リラックスしたオーガニックなカリプソぽいリズムの気持ちのいい曲。
しかし、中盤当たりからコンテンポラリーよりというか、コンテンポラリーでもないなにか実験的な世界がひろがる。
やや内省的で、脳天気なラテンなど微塵もない。
暗いかのかというと、そうでもなくフリーぽかったり、抽象的だったり、華やいだかと思えば漂い。
でも、ダフニス・プリエトらしいドラム、リズム世界は健在で、ちょっとどこにもない個性的な世界を創りだすのに成功している。
もっともポップなジェイソン・リンドナーでさえ、こんなアブストラクトなピアノ弾くんだと驚かされる。
底の知れない力量を感じさせるヨスバニー・テリー、そして老獪なスレッドギルとのインタープレイ。チェロとバイオリンが創りだす怪しい空気。
優れた作編曲家として、さらに踏み込んだ世界をみせるダフニス・プリエトの新境地。
Dafnis Prieto / ダフニス・プリエト
– 1974年、キューバ、サンタクララで生まれ –
幼少時からパーカッションとギターを学び、10代後半でハバナの国立音楽学校でクラシック音楽とアフロキューバン音楽を学ぶ。2000年にアメリカに移住し、数々の有名アーティストと共演しグラミー賞を含む数々の賞を受賞。
教育者としても熱心で、2005年から2014年までニューヨーク大学のジャズスタディーズの教員を務め、2015年にはマイアミ大学のフロスト音楽学校の教員になった。いまだ謎多きラテン・リズムの構造&可能性に迫った研究書も執筆。
キューバ音楽の影響とスイング感覚を基盤として、複雑なリズムパターンやポリリズムを駆使し、様々な音楽ジャンルとスタイルを融合させた独創的なドラミングに定評がある。またその活動範囲はドラム演奏に限らず、ダンス、映画、室内楽のための音楽も作曲も手がける才人。