エスビョルン・スヴェンソンが、この世に残した限りなく透明な結晶。
Esbjörn Svensson left behind in this world an infinitely transparent crystal.
e.s.t. / Viaticum / 2005年
e.s.t. / ヴァイアティカム
Piano – Esbjörn Svensson
Bass – Dan Berglund
Drums – Magnus Öström
Composed by, Arranged by, Performer – e.s.t.
本日は、現代ジャズドラマー列伝 ≪ マグヌス・オストロムの巻 ≫ 第4弾!
このアルバムは、素晴らしいよ。
なんだかんだで、e.s.t.のなかで1番繰り返し聴いてるアルバム。
派手さはない。
超絶技巧も、お得意のロックぽさも、
跳ねる曲、ノリノリの曲も入ってない。
しかし、内省的ながらも、
その美しさは、無彩色の禅的な拡がりに満ち、
気づいたら胸をしめつけられている。
e.s.t.の持つ純度の高いところだけを抽出して封じ込めたかのような、
ほかのどのバンドにもないサウンド、まぎれもない純粋なジャズ。
同時代のレディオヘッド、ブラッド・メルドーに比肩する。
特にスタジオ録音盤としての完成度は高く、
彼らの音楽性が高みに上り詰めたことを感じさせる。
聴く度に引き込まれる珠玉の名盤、
スヴェンソンが、e.s.t. がこの世に残した限りなく透明な結晶。
Magnus Öström / マグヌス・オストロム
– 1965年、スウェーデン、ヴェストマンランド州ヴェステロース生まれ –
マグヌス・オストロムは、芸術家を両親に持ち、ジミ・ヘンドリックス、ディープ・パープル、オールマン・ブラザーズ、レイナード・スキナードといった兄の音楽的指向に影響を受けて育った。8歳の時に初めてドラムセットを手にし、すぐに後にe.s.t.を組むこととなる友人でピアニストのエスビョルン・スヴェンソと音楽を演奏するようになる。1981年からヴェステロース市の音楽文法学校に通い、スヴェンソン・トリオで演奏する。ストックホルムの音楽アカデミーで学ぶとともに地元の様々なバンドで演奏し、1987年から1992年までは、歌手モニカ・ボルフォースのバンドのメンバーとして活躍した。1989年からはスヴェンソンと活動を共にし、彼の事故死までともにe.s.t.で活躍。
絵筆を振るうように自由に、しかもこの上なく美しい彩りで空間を埋めてゆくスティック捌き。打ち込みとも思えるような正確さで常に変化し続ける即興性、クールな疾走感が持ち味。スウェーデン・ジャズを世界に知らしめた立役者。