ハーランドの初リーダー作は、若き天才達のエナジーほとばしるパリ・ライブ盤。
Harland’s first album as a leader is a live recording of a Paris concert that exudes the energy of these young prodigies.
Eric Harland / Voyager Live By Night / 2010年
エリック・ハーランド / ボイジャー・ライブ ・バイ・ナイト
Drums – Eric Harland
Bass – Harish Raghavan
Guitar – Julian Lage
Piano – Taylor Eigsti
Tenor Saxophone – Walter Smith III
現代ジャズドラマー列伝 ≪ エリック・ハーランドの巻 ≫ 第6弾!
耳を奪われっぱなしで聴き通しの78分。
正直、緻密に作り込んだ感は、あまりなく割とラフ。
レコーディング&ツアーに引っ張りだこの人気者達が、
ヨーロッパ・ツアーに繰り出して、エイヤーとエネルギーを発散したのかな、
というようなエナジーあふれる1枚。
メンバーは、きのう紹介のテイラー・アイグスティ “Let It Come to You”と、
ほぼ被ってて、ベースがハリシュ・ラガヴァン、
ギターがジュリアン・レイジで、ピアノが、アイグスティ。
唯一違うサックスのウォルター・スミス3世も、
もちろん彼のリーダーアルバムでハーランドとは共演済みの仲だ。
これぞ正統派、本流!
真っ向勝負のコンテンポラリー。
ハーランドの自作が8曲、テイラー・アイグスティ作が1曲(クレジットでは、組曲っぽく4曲構成)とサム・リバースの1曲で計10曲。
ハーランドはいい曲書くし、メンツは、みんなサイコーだし、
ドラムソロ的な曲も3曲入って文句なし。
扇情的かつ暴力的にメンバーを引っぱりまくるハーランド。
そして、自身のアルバムでは見せないような弾けっぷりのアイグスティ&レイジ。
いつにも増して吹きまくるウォルター。
まさしくライヴ録って出し的な、猛々しさあふれるエリック・ハーランドのリーダー・デビュー作品。
Eric Harland / エリック・ハーランド
– 1976年、テキサス州ヒューストン生まれ –
地元ヒューストンの有名なHigh School for the Performing and Visual Artを卒業。17歳の時にはプロとして演奏を始め、ワークショップでウィントン・マルサリスにNYで学ぶことを奨められマンハッタン音楽学校に入学、卒業後は、ヒューストン・バプティスト大学(聖書研究学部)で神学を学び、その後、牧師として叙階される。
ベティ・カーター、ジョー・ヘンダーソン、マイコイ・タイナー、マイケル・ブレッカー、テレンス・ブランチャード、ブランフォード&ウィントン・マルサリス、ウェイン・ショータなどと共演。2014-2016年シーズン、SFJAZZセンターのレジデント・アーティスティック・ディレクターを務め、現代のトッププレーヤーとしてジョシュア・レッドマン、デイヴ・ホランド、チャールズ・ロイド、ジェイソンモラン、クリスポッターらとの共演、あるいは自身のグループ「VOYAGER」での積極的な活動も評価が高い。
ハイピッチなチューニングが特長で、高速シングル・ストロークの流麗さやダイナミクスの幅広さに定評がある。彼の豊かな音楽性はソロプレイヤーやバンドの状況に素早く反応し、ピアニシモのコントロールやフレージングの速さも素晴らしい。また、彼の始めたタムの上にシンバルを乗せてたり、ハイハットにタンバリンを乗せてリズムを刻んだりする様々な試みは、いまやドラマーのトレンドとも言える。ジャズ・ドラマーとして最も多忙な1人。