未来に向かってひた進むケンドリック・スコット渾身の1発!
Kendrick Scott’s best shot at moving forward into the future!
Kendrick Scott / Corridors / 2023
Drums, Vocals, Produced By – Kendrick Scott
Bass – Reuben Rogers
Saxophone – Walter Smith III
月曜日、今のケンドリック・スコットジャズから、またまた痛烈な1枚!
ドラマーのケンドリック・スコットは、自身のリーダーアルバムは、
ケンドリック・スコット・オラクルとしてピアノ、ギターを交えたグループで作品をリリースし続けてきた。
しかし、今回は、
ベースのリューベン・ロジャースと、
サックスのウォルター・スミスIII世とのトリオ構成。
先週紹介のクリス・ポッターのアルバムが、やはりワンホーンでのトリオだったけど、
まったく同じスタイル。しかし、中味の印象は正反対。
クリス・ポッターが陽ならケンドリック・スコットは、陰。
明るくダイレクトでフィジカルな歓びが、クリス・ポッターにはあるけど、
思索的で内向的でダーク、
しかし、非常に強烈な作家性を感じさせるのが、本作だ。
対照的な作品ではあるけど、その格好良さにおいては、
ポッター作品と双璧を成すのではないかという名盤。
ジャケットは、未来への回廊(コリドール)だろうか、
非常にフューチャリスティックなイメージ。
このイメージとは、かなり違う雰囲気に戸惑うけど、
アルバムを通して受ける印象からは、
音楽に対する真摯でひたむきさが強く感じられ、
自分たちのやっている音楽こそが未来に通じるんだ、という確信が伝わってくる。
3人の卓越した技術が織りなす音空間は、
ただ互いの音に反応しているだけのインタープレイにとどまらず、
表現したい思いやストーリー、歌といったものを3人がよく理解し、
伝えたいものが明確である証しだろう。
一編の良質な映画を観るような作品、爆音で楽しみたい傑作だ。