カート・ローゼンウィンケルの先進性とロマンティシズムが結実した名作!
A masterpiece that is the fruit of Kurt Rosenwinkel’s progressive and romanticism!
Kurt Rosenwinkel / Heartcore / 2003年
カート・ローゼンウィンケル / ハートコア
Drums,Guitar,Keyboards,PercussionVocals – Kurt Rosenwinkel
Producer – Q-Tip
Drums – Jeff Ballard (Tracks: 2, 3, 6, 9, 11)
Bass – Ben Street (Tracks: 2, 3, 6, 8, 11)
Tenor Saxophone – Mark Turner(Tracks: 1, 2, 6, 9, 11)
Bass Clarinet – Andrew D’Angelo(Tracks: 4)
Flute – Mariano Gil(Tracks: 5, 8)
Keyboards, Piano – Ethan Iverson(Tracks: 6, 9)
現代ジャズドラマー列伝、本日は ≪ ジェフ・バラードの巻、第6弾 ≫、
ギタリストのカート・ローゼンウィンケル、2003年の作品。
異色作というか当時は、かなり賛否を集めたアルバムだった。
このアルバム、同じ年にリリースされた
「RHファクター / ハード・グルーヴ」と同じ人物が関わっている。
そうQティップが、プロデューサーとして招かれているのだ。
ヒップ・ホップ最重要人物が、だ。
おもしろい!
ロイ・ハーグローブといいカートといい、ジャズの先っちょのヒトたちが、
ヒップ・ホップの先っちょなヒトとお客さん程度ではなく、
がっつり組んでアルバム作ってるって。2003年とは、そういう変化の時だった。
いまの耳で聴くと、さほどには違和感は感じない。
もちろん、ヒップ・ホップなアルバムでもないし。
ただ、打ち込みや、音の構成から相当に作り込んだアルバムであるのは確か。
インプロビゼイションはもちろんあるけど、
ソロ回しといったジャズのマナーよりも楽曲自体の空気、世界観、
作り込みに重きが置かれているというのは間違いない。
いや、何よりも重きを置かれているのは、
カート・ローゼンウィンケルの過剰なロマンティシズムかもしれない。
カートの音楽性の一端が、非常にわかりやすく結実したアルバム。
打ち込み曲も半分くらいあるけど、特にリズムが自由になって、
そこに乗っかってゆくカートのギターと、
これまた相性ぴったしな音色のマークターナーのサックス。
幻想的でありながら、スリリングな独自の世界観に浸れる。
熱くなりすぎず、かといって全然ドライではなく、むしろロマンティック。
ジャズのアルバムに、打ち込みや多重録音など、
それまでのタブーが、積極的に取り入れられた話題作。