きょうも現代ジャズドラマー列伝、で参る!
2番目に登場するのは女性ドラマー、と言えばこのひと。
Terri Lyne Carrington / テリ・リン・キャリントン
– 1965年マサチューセッツ州メッドフォード生まれ –
サックス奏者の父の影響で幼少時にサックスを演奏し始め7歳でドラムに転向、キース・コープランドに師事。12歳でバークリー音楽大学の奨学金を獲得。10代の頃はアラン・ドーソンに師事し、また作編曲についても学ぶ。1983年ジャック・ディジョネットの奨めでニューヨークに身を移す。
ウェイン・ショーターのオーディションに合格しアルバム『ジョイ・ライダー』の録音に参加。ツアーにも同行することで、その名を世界に知らしめる。
自身のアルバムでグラミーを2度受賞。アメリカで最も権威あるジャズ誌ダウンビートの評論家&読者投票でも常にトップあるいは上位に位置し、現在女性ドラマーとしてというよりダントツのトップドラマー。
パワフルなストロークから生みだされる圧倒的なテクニックとグルーヴ感が持ち味。多彩なワザとダイナミズム溢れる変幻自在なプレイでサウンド全体をコントロールする。
2007年にはバークリーの教授に就任。
2018年には “Berklee Institute of Jazz and Gender Justice” という新しい学部を創設した。
↑の解説どおり、本日の1枚は出世作のこれ。
Wayne Shorter / Joy Ryder / 1988年
ウェイン・ショーター / ジョイ・ライダー
巨匠のフュージョン3部作の最終章。
The final chapter in the master’s fusion trilogy.
Wayne Shorter / Joy Ryder / 1988
Saxophone, Producer – Wayne Shorter
Bass – Nathan East
Bass – Darryl Jones (Tracks:4, 6)
Drums – Terri Lyne Carrington
Percussion – Frank Colon (Tracks: 2, 5)
Keyboards – Patrice Rushen
Synthesizer, Piano – Geri Allen (Tracks: 1, 2, 3, 5, 7)
Synthesizer – Herbie Hancock (Tracks:4, 7)
Vocals – Dianne Reeves (Tracks: 7)
まあ、テリ・リン・キャリントンの出世作ではあるけど、
あまり評判の芳しくないアルバムではある。
一聴して分かるとおり「ザ・80年代」な音がする。
全体を通してシンセを多用、どの楽器にも深めのリヴァーブがかかってて、
ファットというか、ゴージャスというかバヴリーなサウンドが特長だ。
それとも、いまだウェイン・ショーターが、
ウェザーリポート時代の大ホール&スタジアムでの音づくりから目が覚めていないのかもしれない。
メンバーは、キーボードのパトリース・ラッシェン。
ベースにネイザン・イースト。
ドラムがテリ・リン・キャリントンというメンバー。
加えてアディショナル・ミュージシャンとして、
ピアノ、シンセサイザーのジェリ・アレン(5曲)、
シンセサイザーでハービー・ハンコック(2曲)、
ベースでダリル・ジョーンズ(2曲)、
ボーカルでダイアン・リーヴス(1曲)が加わっている。
ジョー・ザヴィヌルがいればシンセはひとりでよかったのでは、
なんて要らぬことを考えてしまう。
とはいえ、やっぱりウェイン・ショーターだ。
あの音色、音使い、ヴォイシング、何だかんだで聴かせてしまう。
ソロも抑えめで全体のサウンド重視なスタイルながら、
ウェイン・ショーター流幽玄だと思えば、楽しめてしまうから恐ろしい。
そうそう、テリ・リン・キャリントンのドラミングだけど、
さすがに御大の前でいきなり叩きまくってるわけではなく、そつなく締めている印象。
でもよく聴くと、
けっこう8ビートが多めで単調になりがちなところを、
小技というかアイデアを差しこむことで一癖あるリズムにしている、にくいプレイ。
いまとなっては、けっこう聴きどころも満載な巨匠の1枚だ。
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