Jeff “Tain” Watts/ジェフ・テイン・ワッツ
– 1960年ペンシルベニア州ピッツバーグ生まれ –
“Tain/テイン” は、ケニー・カークランドから付けられたニックネーム。
バークリー音楽大学でブランフォード・マルサリスと出会い1981年にウィントン・マルサリス・カルテットに参加し華々しくデビュー。
それまでの職人的なジャズ・ドラマーと違い、あらゆるジャンルのプレイが可能な先駆け的ドラマー。
幼い頃からロック、ファンク、ブルースなど様々な音楽を聴いて育ちクラシックやジャズをベーシックな基礎として学んで育った世代の筆頭。
爆発的なパワーとスピード、そして複雑なリズムのマスターであり変幻自在のドラミングが可能。
比類のないテクニック、うねるようなスイング感、希有なエレガンスがもたらす表現力は多彩かつ優雅で、ジャズの革新者と賞賛される現役世代最高のドラマー。
ジェフ・テイン・ワッツ第3弾は、我らがナベサダ!
Sadao Watanabe / Parker’s Mood / 1985年
渡辺貞夫 / パカーズ・ムード
若きメンバーに刺激され歌いまくるナベサダの原点回帰的名作!
A masterpiece that is a return to the roots of Sadao Watanabe, who is inspired by the young members and blows hard!
Sadao Watanabe / Parker’ Mood / 1985
Producer, Alto Saxophone – Sadao Watanabe
Bass – Charnett Moffett
Drums – Jeff “Tain” Watts
Piano – James Williams
1985年、まだバブル崩壊前。
ナベサダといえば、フュージョン・ブームに乗って
「カリフォルニア・シャワー」(78年)、
「モーニング・アイランド」(79年)、
「ハウズ・エブリシング」(80年)、
「オレンジ・エクスプレス」(81年)と空前のヒットを飛ばし、
資生堂のCMでも常連だった(このアルバムもLive at Bravas Club’85となっている)。
そんなフュージョン作品からひさびさのジャズ回帰を果たしたのが本作だった。
メンバーは、アルトサックスのナベサダに、
ピアノがジェイムス・ウィリアムス、
ベースがチャーネット・モフェット、
そしてドラムがジェフ・テイン・ワッツというそうそうたるメンツ。
この時、ワッツ25歳、モフェットなんと18歳、
モフェット34歳、ナベサダ52歳。
3人の若いこと!
明らかに音数多いけど、
決して全体のサウンドを壊すようなことはないし、
さすが、としか言いようのない極上のグルーヴでナベサダを支える。
それに応えて、
ナベサダもこれ以上にないほど気持ちよくスウィングしてる。
日本人的というか、少しウェットでメロディアス。
歌心あふれ、どこまでも美しい音色が聴衆を魅了する。
これ、ナベサダの長い演奏歴のなかでも代表的な1枚なのではないだろうか。
ビバップからフュージョン、アフリカとオープン・マインドに音楽を追求してきた彼の原点回帰。その人柄、明るさが滲み出る名盤だ。