さてさて、≪ 現代ジャズドラマー列伝 ≫ 、
いきなり80年代生まれに飛んでこの人です、タイショーン・ソーリー。
ドラマー列伝は、年代を追って紹介と決めてたんだけど、
若い人のアルバムだといつまでたっても紹介できないので、
あまり順序に拘らずに紹介することにした。
というわけで、またガチ硬派で異質なドラマーの登場。
Tyshawn Sorey / タイショーン・ソーリー
– 1980年、ニュージャージー州ニューアーク生まれ –
ドラマーであるとともに、作曲家、マルチ・インストゥルメンタリスト、現代音楽教授でもある。
ニューアーク芸術高校を卒業。2004年ウィリアム・パターソン大学でジャズ研究とパフォーマンス課程を修了し、クラシックトロンボーンを専攻した後、ジャズドラムに転向した。
2009年、ウェズリアン大学に入学し、2011年春に修士号を取得。秋にはコロンビア大学で博士課程を開始し、2017年作曲の音楽芸術博士号も取得。その後、ウェズリアン大学の音楽助教授に就任し、同大学でEnsemble for New Musicを設立し、作曲と即興音楽に関する講義を担当した。2017年秋には、音楽演奏と作曲における活動のためにマッカーサー・フェローシップを授与された。2020年には、ペンシルバニア大学の音楽学部学長補佐として教員に就任。
ドラムスタイルは、彼自身の作曲家、指揮者、マルチインストゥルメンタリストでもある音楽的背景が反映されており多様なパターンやリズムを繰り出し、時にはテクニカルで激しい演奏を見せながらも、繊細で美しい音楽を奏でる。
ジャズに限らず、現代音楽や即興音楽、クラシック音楽など、幅広い音楽ジャンルに精通しており、ドラム以外にもトロンボーン、ヴィブラフォン、チェロ、トランペット、ピアノなどを演奏することもあり、その多彩な音楽性が彼の音楽に深みを与えている。
エレクトロ・ビートと生ドラムが火花を散らす名盤!
Electro beats and live drums spark off this masterpiece!
Tyshawn Sorey, King Britt / Tyshawn & King / 2021
タイショーン・ソーリー, キング・ブリット / タイショーン&キング
Drums – Tyshawn Sorey
Synthesizer – King Britt
このアルバムは、上の説明の通りアカデミックな匂いのするドラマー、タイショーン・ソーリーと、フィラデルフィア出身のDJ、作曲家、プロデューサーでエレクトリック・ミュージック界のVIPであるキング・ブリットのコラボレート作品だ。
この2人が、どういう経緯で出会ったのかは分からないけど、
異質な組み合わせであることだけは明確。
ライナー読んでないから分からないけど、一部オーバーダヴらしいカ所はあるものの、
デュオと言うよりは、ほぼ両者の一騎討ち的作品。
火花の散るようなスリリングさと、
クラクラするようなサウンドの対比が、実に刺激的な1枚だ。
いつもはジャズでも現代音楽的アプローチの多い(分かりやすく言うと小難しくて取っつきにくい)ソーリーが、ダンスフロアの王に会わせて、
けっこうグルーヴィーなサウンドを奏でてるところにおもしろさがある。
もちろん、たんなるダンスミュージックになるわけもなく、
2人の一挙手一投足に耳をそばだてるような展開が続き興奮する。
こういったジャンルを超えた真剣勝負こそがジャズなのかもしれない。
爆音で聴くことをオススメしたい名盤。