月曜日・新シリーズ!
「ジャズって何から聴けばいいですか?」と問われること多し。
「ソニー・ロリンズのサキソフォン・コロッサス」と答えたいのはやまやまだけど、このブログのコンセプトに従って2000年以降のアルバムという縛りで、わかりやすさ、かっこよさ、親しみやすさを第一に毎週1枚あげていきたい。
題して “ 試験にでる現代ジャズ ≪ 入門編 ≫ ”
(なんで試験やねん)よろしく!
試験にでる現代ジャズ ≪ 入門編 ≫ Vol.011
Stefon Harris・Blackout / Evolution / 2004年
ステファン・ハリス・ブラックアウト / エヴォリューション
ヴィブラフォンの進化を牽引するオトコ、ステファン・ハリス、ブルーノートより7枚目のアルバム。
Stefon Harris・Blackout / Evolution / 2004年
Marimba, Vibraphone – Stefon Harris
Bass – Darryl Hall
Alto Saxophone – Casey Benjamin (tracks: 1, 2, 4 to 7, 9, 11)
Drums – Terreon Gully
Flute, Alto Flute – Anne Drummond (tracks: 2, 4, 5, 7 to 9)
Keyboards – Marc Cary (tracks: 1, 2, 4 to 9, 11)
Piano, Electric Piano – Xavier Davis (tracks: 3, 10)
Vocals – Pedro Martinez (tracks: 9)
そうだ、まだ “ 試験にでる現代ジャズ ≪ 入門編 ≫ ” でヴィブラフォン奏者を出していなかった。
とくれば、現代ジャズ・ヴィブラフォニストとして筆頭に名前のあがるこの人、ステファン・ハリス。
西海岸ジャズの殿堂SFJazz Collectiveでは、
ヴィブラフォニストとしては初代ボビー・ハッチャーソンに継いで2007年から7年間メンバーを務めた実力者だ。
ステファン・ハリスは、1973年生まれ。ということは現在(2021年5月)48歳。このアルバムは、31歳時のアルバム、ブルーノートからのリリースだ。
入門者もヴィブラフォンのジャズといえば、なんだかムード・ジャズのようなフワフワと気持ちのいい音を想像するかもしれないし、聴いたことあるかも。
しかし、現代ジャズのヴィブラフォンももちろん進化(このアルバムのタイトルか)していて、このアルバムの音は、おそらく想像したものとは随分違うものかもしれない。
精鋭的なリズム、特有のホワホワ(ヴィブラフォン特有の深いヴィブラート)を抑えた音色、多様なアンサンブル、聴いたことないようなハーモニー、新しい発見がいっぱいあるはずだ。
一方で、ヴィブラフォンが本来持つやさしい触感が、それらの鮮鋭度を極めて聴きやすいものとしてくれていて、まどろんでしまうような気持ちよさも同居している。
もちろん今現在でのヴィブラフォン事情は、より高度で複雑なものとなっているけど、ある程度のシンプルさを残した2004年でのこのアルバムは、導入としていい塩梅なのではないだろうか。
↓ 3曲目 “ Until ” は、ピアソラの名曲“ 忘却 / Oblivion ” 切なさに涙。
ハリスのヴィブラフォン&マリンバの両刀演奏が冴える。