オーストリア出身のギタリスト、ウォルフガング・ムースピール。アンブローズ・アキンムシーレ、ブラッド・メルドーを迎えスターキャストでおくるECM第2弾 / 月曜日のブラッドメルドー
Wolfgang Muthspiel / Rising Grace
Guitar – Wolfgang Muthspiel
Trumpet – Ambrose Akinmusire
Piano – Brad Mehldau
Bass – Larry Grenadier
Drums – Brian Blade
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Degree of
Contemporary / コンテンポラリー度 ☆☆☆
Thrilling Sounds / スリリング度 ☆☆☆
Ensemble / アンサンブル度 ☆☆☆
Lyrical / リリカル度 ☆☆☆
Romantic / ロマンティック度 ☆☆☆
Fantastic / ファンタジック度 ☆☆☆
Dreamy / ドリーミー度 ☆☆☆
Ambient / アンビエント度 ☆☆☆
スター・キャストと書いたけど、
その他のメンツは、ベースがラリー・グレナディア、ドラムがブライアン・ブレードとなっている。完璧ですね。
ムースピールの前作でグレナディアとブレイドとは共演してるし、メルドーとグレナディアとブレイドは、ジョシュア・レッドマンの
とか度々共演する仲、気心も十分知れたチーム。
1曲がメルドー作で、ほかは全てムースピール作となっている。
これ、不思議なアルバム。
ちょっとザッピングするように聴くと、なんか捉えどころなくてすぐ飛ばしちゃうような感じ。
キメキメの見せ場があるわけでもなく、ゆったりとした曲だけだけど、しっとりしたバラードというわけでもない。
ただただ、とても美しい。
各自のソロが、あるいはバッキング、テーマの流れが、絶妙なタイミングで紡がれてゆく。
短編集、あるいは海外もののノンフィクションによくあるようにナレーションとショートドラマと関係者の語りとが交互に現れてゆくように、達人達が激しくもなく感情込め込めの鳴きでもなく、とつとつと語りながら物語を進め、その巧みさについつい目が離せなくなっていく(どんなたとえだ)。
ジャズの、音楽の精髄を極めてきた達人達の語らいは、いつのまにかその空間を静かに支配してゆく。
メルドーも控えめながらも、ここぞというところで絶妙なバッキング、そしてソロを入れてくる。
メルドーの他流試合ののなかでも代表的な1枚かも知れない。
みんな素晴らしいけど、特にアンブローズ・アキンムシーレの音にはあらためて惚れ惚れ、ますます好きになる。
ECMらしく、静けさとミステリアスな響き。
不安と陶酔の際をあるくような絶妙なアンサンブルの美しき均衡が味わえる。
大人のアナタにこそ聴いてほしい滋味深い1枚。