ウォルフガング・ムースピール渾身のECM第4弾。前作の豪華メンバーにエリック・ハーランドを加え、透明感の中にも生々しさが宿る “ 冬の旅 ”
Wolfgang Muthspiel / Where The River Goes
Guitar – Wolfgang Muthspiel
Trumpet – Ambrose Akinmusire
Piano – Brad Mehldau
Bass – Larry Grenadier
Drums – Eric Harland
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JazzDog’s Rating ☆☆☆☆☆
Degree of
Contemporary / コンテンポラリー度 ☆☆☆
Thrilling Sounds / スリリング度 ☆☆☆
Ensemble / アンサンブル度 ☆☆☆
Lyrical / リリカル度 ☆☆☆
Romantic / ロマンティック度 ☆☆☆
Fantastic / ファンタジック度 ☆☆☆
Dreamy / ドリーミー度 ☆☆☆
Ambient / アンビエント度 ☆☆☆
Stylish cover arts / ジャケ買い度 ☆☆☆
ウォルフガング・ムースピールをもう1枚。
以前紹介した “ Rising Grace ” につづくECM第4弾。
前作とほぼ同じメンバー、ただドラムだけがブライアン・ブレイドからエリック・ハーランドに代わった。スケジュールの都合がつかなかったのだろうか。
でも、オイラ的には大興奮、大好きなハーランド。
もちろん、ブライアン・ブレイドはこの上なく素晴らしいドラマーだけど、エリック・ハーランドはまた大きく異なった個性のドラマーだ。
前作との違いは、もろにドラマーの個性の違いと言ってもいい。
情景的な美しさよりも内面に迫る生々しさが濃くなった気がする。
メンバー間はより濃密なインタープレイを交わす。
ジャケット・デザインからして “ 冬の旅 ” といった風情。
クールで透明感あふれる空気、そして芯には小さいけれど確かな炎が燃えている。
楽曲は、ほとんどムースピール。
7曲目がメルドー作、そして4曲目 “ Clearing ” は全員の名がクレジットされる最も即興的な楽曲。
ムースピールが中心でらしさがあふれていることは言うまでもないのだけれど、アンブローズ・アキンムシーレの為に書かれたような曲ばかりだし、と言うかアキンムシーレなくしてこのユニットは存在の意味がないし。
また、メルドーにしても、もちろん自身のバンドでのプレイとはひと味違うけど、それでもメルドーらしさがよく現れた楽曲なのに驚く。
ギタリストとしての能力のみならず、ムースピールの作編曲の能力の高さが際立っているアルバムだ。
前作の“ Rising Grace ” とこの2作は、近年のECMを代表するアルバムだとと思う。