北欧ジャズ的でありながらも決して違うし、NYでもロンドンでもなくイスラエルでもない、まさしくハイブリッド。ピアノ・トリオの新たな地平がそこに見え隠れする。
チック・コリアの最新アルバム “ プレイズ ” で素敵なデュオを披露していたヤロン・ヘルマンの新譜を紹介。
イスラエル勢の1人としてもっかぐんぐん頭角を現しつつある彼。
しかし、むしろECMかと思われるような深い音色。そして、強烈なイスラエル色でもなく、どこか不思議なラインを弾く個性あふれるピアノ・スタイルのヘルマン。ブルー・ノートに移籍して3作目の作品だ。
ソロ・プロジェクトでは、ハイブリッドかつアグレッシブなサウンドを展開するヤロン・ヘルマンのピアノ・トリオ。
でも、こちらはいたっておだやかというかおとなしめな印象。
まずは相変わらずの独特の美しい音色にうっとり。
そして、なかなか叙情的な作品だな、落ち着くな。
音数少なめ、ちょっともの足りないかもしれないな、BGM向けかな。
などと静かに聴き入っている。
しかし、そこにヤツの罠が潜んでた。
気を許していると、いつしか逃れられないような深み、おだやかで美しい迷宮に絡め捕られている自分に気づく。
よく聴くと、ヘルマンのピアノももちろんだけど、トリオとしてのアンサンブル、絡みが素晴らしい。楽曲ごとの異なる魅力、聴きどころ、たくらみが結局ラストまで飽きさせない。
極端な個性、武器があるわけではないのに、スルメ的味わいのアルバム。
リラックスと緊張、おだやかな興奮、ゆるやかな熱情、寡黙な雄弁。
北欧ジャズ的でありながらも決して違うし、NYでもロンドンでもなく、イスラエルでもない、まさしくハイブリッド。
ピアノ・トリオの新たな地平が、そこに見え隠れする。
Degree of
Contemporary / コンテンポラリー度 ☆☆☆
Ensemble / アンサンブル度 ☆☆
Lyrical / リリカル度 ☆☆☆
Fantastic / ファンタジック度 ☆
Wistful / 哀愁度 ☆☆☆
Relaxing / まったり度 ☆☆
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Piano – Yaron Herman
Bass – Sam Minaie
Drums – Ziv Ravitz
Composed By – Sam Minaie (tracks: 10), Yaron Herman, Yaron Herman (tracks: 10), Ziv Ravitz (tracks: 10)